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    ~メタノールの船舶燃料利用の実装に向けた模擬バンカリングの実施~
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2024年
  • 2024年09月18日
  • 横浜港にてメタノールバンカリングシミュレーションを実施しました
    ~メタノールの船舶燃料利用の実装に向けた模擬バンカリングの実施~

 

 

本日、横浜市(市長 山中 竹春)は、マースクAS(駐日代表 山本 航平)、三菱ガス化学株式会社(代表取締役社長 藤井 政志)、国華産業株式会社(代表取締役社長 今川 公史)、出光興産株式会社(代表取締役社長 木藤 俊一)、上野トランステック株式会社(代表取締役社長COO 上野 元)及び横浜川崎国際港湾株式会社(代表取締役社長 人見 伸也)と共に、横浜港南本牧ふ頭において、マースク社が運航するメタノール燃料コンテナ船「Alette Maersk」と国華産業の保有するメタノール輸送内航船「英華丸」との間で、「メタノールバンカリング※1シミュレーション※2」を実施しました。
私どもは、本シミュレーションを通じて得た知見を活かして、船舶燃料としてのメタノールの供給方法について連携して検討し、関係官庁の協力※3を得ながら、我が国におけるメタノールバンカリングの実装に向けた取組を引き続き進めていきます。


※1 バンカリングとは、船舶で使用する燃料を供給することを言います。
※2 実際の燃料供給の前段階として模擬的に作業確認を行ったためシミュレーションと呼んでいます。
※3 国土交通省港湾局、9月12日発表「メタノールバンカリング拠点のあり方検討会」など
   https://www.mlit.go.jp/report/press/port04_hh_000475.html

 

                  メタノール燃料コンテナ船「Alette Maersk」

                   Ship to Shipで接舷している状況

 

1 メタノールについて
船舶燃料は世界のCO2排出量の約2.5%を占めており、温室効果ガス削減を目的とした代替燃料への転換の取組が増えています。メタノールは、燃焼時のCO2が少ないこと、NOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)、PM(粒子状物質)の発生が少ないことから、クリーンな燃料として知られています。さらに、バイオマスや、CO2と再生可能エネルギー由来の水素からメタノールを合成する試みが増えており、カーボンニュートラルを指向した燃料として注目を集めています。
国際海運市場では、脱化石資源を視野に重油に代わる環境負荷の低い船舶燃料としての使用が既に始まっており、メタノールを主燃料とした船舶の普及も進んでいます。日本国内においてもメタノール燃料船の増加が見込まれており、国内の港湾におけるメタノールの補油体制の構築は、海運における温室効果ガス削減のため、また港湾の国際競争力確保のために重要です。


2 メタノールバンカリングシミュレーションについて
横浜市、マースクAS、三菱ガス化学株式会社、国華産業株式会社、出光興産株式会社、上野トランステック株式会社及び横浜川崎国際港湾株式会社は、横浜港における燃料メタノールの利用促進に向けた活動を強化してまいりましたが、このたび、Ship-to-Shipによる安全な燃料供給を実現するための取組の一つとして「メタノールバンカリングシミュレーション」を行いました。
本日の取組では、メタノールのバンカリングに用いる予定の国華産業保有の英華丸を、メタノールを燃料として運航することのできるマースク社が運航するメタノール燃料コンテナ船に接舷しホース接続上の課題を洗い出すなど、参加各社が保有する船舶設備や知見を持ち寄り、実際に燃料メタノールのバンカリングに必要なオペレーションの確認を行いました。
メタノールは、化学品の貨物として既にケミカルタンカー同士でのShip-to-Shipでの移送の実績はありましたが、燃料供給を前提とした今回の取組は、今後日本国内でメタノールの定常的なバンカリング体制を構築するための大きな一歩です。
本取組での知見を今後の日本国内における燃料メタノール供給体制の確立に活かすべく、関係官庁も交えて協議を進めてまいります。

 

3 各社紹介
(1)マースクAS(東京都港区)
1904年にデンマークで創業された総合物流企業。日本(横浜港)への初寄港は1924年。現在は130カ国以上で事業を展開しています。2023年10月に世界初となるグリーンメタノール燃料に対応するコンテナ船をバルト海航路に就航させました。24年4月には横浜港にて同燃料対応のAstrid Maersk(16,000 TEU型)が命名されました。マースクは、新たな技術、新たな船舶、そしてグリーン燃料を用いて、2040年までにすべての事業の温室効果ガス排出量ネットゼロ達成を目指しています。


(2)三菱ガス化学株式会社(東京都千代田区)
三菱ガス化学は、生産品目の90%以上を自社開発技術で製造するユニークな化学会社です。創業以来、新しい技術と価値の創造に取り組み、メタノールやキシレン、過酸化水素といった基礎化学品から、高機能エンジニアリングプラスチック、半導体パッケージ材料、脱酸素剤「エージレス®」に至る機能製品まで、幅広い事業分野を通じて人々の暮らしを支えてきました。三菱ガス化学は、これからも化学にもとづく幅広い価値の創造を通じて、社会の発展と調和に貢献します。


(3)国華産業株式会社(東京都港区)
国華産業は、1947年3月創立。1956年石炭、人造絹糸の原料輸送を皮切りに本格的に海運業へ進出、1960年代からは内外航メタノール輸送船事業、特殊タンク船事業、汎用ケミカルタンカー船事業の輸送に従事し、現在に於いてもこれらの事業を主業としております。貿易にも国内輸送にも海というルートは欠かせません。安全運航と厳格な品質管理のもと海上輸送を通じて、経済活動や日々の暮らしを支えるインフラとしての役割を担い続けております。

 

(4)出光興産株式会社(東京都千代田区)
燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源の各分野において、様々な分野のパートナー・顧客との信頼関係をベースに、多様なエネルギーと素材の開発・製造・販売を手掛けています。2050年カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向け、合成メタノール(eメタノール)などの多様で地球環境に優しい「一歩先のエネルギー」や、「省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域への進化を目指し、国内外のネットワークを活用して新たな挑戦を続けています。

 

(5)上野トランステック株式会社(神奈川県横浜市中区)
上野グループ(本社:神奈川県横浜市中区)の中核企業として、内外航合わせ約60隻のタンカーを運航し、石油/石油化学製品の海上輸送を行っています。上野グループは、産業や市民生活に欠くことのできない石油製品、ケミカル製品の輸送・貯蔵・販売、ソーラー事業、海洋環境事業などに従事する35社で構成します。1869年の創業以来、150年以上に渡り経験、知見を積み上げてきたエネルギー関連事業を核に、多様な事業分野で社会の発展に広く貢献しています。

 

(6)横浜川崎国際港湾株式会社(神奈川県横浜市西区)
横浜川崎国際港湾株式会社は、国際コンテナ戦略港湾である京浜港の港湾運営会社として主に国、横浜市、川崎市等の出資を受け、2016年1月に設立されました。横浜港・川崎港のコンテナターミナルの整備運営等を通し、我が国における港湾の国際競争力強化に取り組んでいます。既存ターミナルや今後整備するターミナルについて、再生可能エネルギーの導入やLED照明の導入等によりCO2排出量の削減を行い、港湾の脱炭素化を推進しています。

 

お問合せ先
横浜市港湾局政策調整課 カーボンニュートラルポート担当課長 中村 仁 Tel:045-671-7279
マースクAS 総務部 Tel: 050-4560-2762
三菱ガス化学株式会社 総務部人事広報グループ 部長 日永田 真一 Tel: 03-3283-5040
国華産業株式会社 内航営業部 部長 野村洋平 Tel: 03-6367-5748
出光興産株式会社 広報部広報課 Tel: 03-3213-3115
上野トランステック株式会社 戦略推進部 Tel: 03-6747-3174
横浜川崎国際港湾株式会社 総務部 総務課長 雨宮 隆 Tel: 045-680-6636

 


【PDF】横浜港にてメタノールバンカリングシミュレーションを実施しました