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    世界に先駆けて水素によるゼロエミッション船の開発に参画
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2023年
  • 2023年06月30日
  • 水素燃料エンジンによる、実証実験航行対応の電気推進船を建造

    世界に先駆けて水素によるゼロエミッション船の開発に参画

上野グループの海運会社である上野トランステック株式会社(代表取締役社長:上野 元、本社:神奈川県横浜市中区、以下、上野トランステック)は、公益財団法人日本財団の「ゼロエミッション船の実証実験にかかる技術開発助成プログラム」において、水素燃料実証という目標に向け、2026年(予定)の実証実験航行に対応する電気推進船を建造します(竣工予定:2025年)。

全長100メートル超、5,000KL型の新造船は、従来船をベースにしつつも新たな船型を開発し、水素燃料対応の国内内航タンカー最大サイズ船型のプロトタイプモデルとして建造します。

 

【「日本財団ゼロエミッション船プロジェクト」(公益財団法人日本財団)の詳細】

URL:https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/zeroemission2050?site=hl21201041

 

■上野グループについて

上野グループ(神奈川県横浜市中区)は、産業や市民生活に欠くことのできない石油製品、ケミカル製品の輸送・貯蔵・販売、ソーラー事業、海洋環境事業などに従事する35社で構成します。1869年の創業以来、150年以上に渡り経験、知見を積み上げてきたエネルギー関連事業を核に、多様な事業分野で社会の発展に広く貢献しています。

 

*プレスリリース配布先:横浜経済記者クラブ、国土交通記者会。なお、当実証実験航行についてのリリースを、公益財団法人 日本財団、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社も発表しています。

 

【参画プロジェクト名】

 「舶用水素4ストロークエンジンと水素エンジン対応大型内航タンカーの開発・実証」

<コンソーシアムメンバー(2023年6月時点)>

1. ヤンマーパワーテクノロジー(株)(代表)

2. 上野トランステック(株)

3. (大)京都大学

4. 福岡造船(株)

5. 三井E&S造船(株)

6. (株)みらい造船

※所掌:4. 船舶の詳細設計・建造、 5. 船舶の基本計画・基本設計、 6. 水素エンジンコンテナの詳細設計・製造

 

水素燃料船の開発ポイント】

水素の燃焼制御が難しい点を勘案して、ハイブリッド発電システム(発電装置とバッテリーの組み合わせ)を採用し、新規開発される「水素燃料エンジン」と「水素燃料供給システム」(コンテナユニット型)※1を、上甲板部分に水素による発電装置として搭載することができる新たな船型を開発します。コンテナユニットを搭載した場所は、将来「水素燃料タンクの設置場所」として活用されることとなり、開発した船型は今後実装される水素燃料船のベースとなり得るものです。今回建造する船舶と同型サイズで「水素燃料」が実装された場合、従来通り「重油」を燃料として使用した船舶と比較し、1隻につき約6,000トン/年のCO₂排出削減が見込めることとなります。

※1 「水素燃料エンジン」(内航船舶用水素燃料4ストローク高速発電エンジン)と「水素燃料供給システム」は、ヤンマーホールディングス株式会社のグループ会社で、エンジンの開発・製造・販売・サービス等を手がけるヤンマーパワーテクノロジー株式会社が開発を担当します。

 

実証時の新造船主要目:

完成予定:2025年6月

総トン数:4,500トン

積載量:5,000KL

全長:104.93m

エンジン:船舶用水素燃料4ストローク高速発電エンジン*(2026年完成予定)

*ヤンマーパワーテクノロジー株式会社URL:https://www.yanmar.com/jp/marinecommercial/news/2023/06/30/126380.html

 

実証実験航行で得た知見により、今回の新造船船型において水素燃料エンジンを機関室に搭載できる設計・開発(日本初のコンセプト)を行い、一般財団法人日本海事協会※2からの設計基本承認(Approval in Principle:AiP)※3を取得します。これは、サプライチェーンやバンカリング(燃料として水素を船に供給)など将来の水素インフラが整備され次第、直ちに水素燃料船を建造可能とする状況を創出することとなり、より迅速な脱炭素化へ貢献するものとなります。

 

※2 船舶の船体・艤装・機関の安全性等に関わる規則を定め、個別の船舶の構造や現状について、規則への適合を確認する検査を行う機関。世界に多く存在する組織で、一般財団法人日本海事協会は日本の船級協会。

※3 設計初期の段階の製品に対して、規則類の規定に基づく図面の審査を行い、規則類の観点での技術的な実現可能性を確認するスキーム。

 

ヤンマーについて

1912年に大阪で創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーです。「大地」「海」「都市」のフィールドで、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開。環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指し、顧客価値を創造するソリューションを提供しています。未来を育むヤンマーの価値観「HANASAKA」を基盤に、ブランドステートメントとして掲げる“A SUSTAINABLE FUTURE”を実現します。

詳しくは、ヤンマーのウェブサイトhttps://www.yanmar.com/jp/about/をご覧ください。

 

水素燃料による実証実験航行対応以外の、新造船開発におけるポイント】

  • 自律運航を目指した先進船舶化

2基2軸(発電機4台に「推進モーター2基、プロペラ軸2本・舵2枚」)の船型とし、1軸船(在来型)よりも

推進や旋回など運航性能の向上を図ります。直観的な操作を可能とするジョイスティック(操船統括システム)の搭載で、着離桟時の事故低減と、今後導入が進むと考えられる着離桟支援システムとの親和性が期待できます。ハイブリッド電気推進船である本船は、自律運航や遠隔操作・支援ができる船に必要な操船機器(神経)の統括が行いやすいため、今後新しい機器やシステムが開発された際には、それらの導入において互換性が高いと考えられます。

 

  • 「乗りたくなる船」の開発

“環境にやさしい、乗組員にやさしい”船舶を目指す上野トランステックは、上記に加え自動荷役システム、自動音声案内システム、画像認識カメラなどの装備による運航や荷役の労務負荷軽減、安全性の向上を図ります。さらに、多様性、快適性を考慮した船室をはじめとする船内居住空間向上のため、船員目線で検討した「乗りたくなる船」の開発を行います。

 

  • 燃費改善

本船は、実証実験時に甲板上に大型で重量のある水素燃料エンジン及び水素燃料供給システムを設置して航行可能な船型の開発に合わせて、船体に働く摩擦等の抵抗を低減させる船型の開発を行いました。また、ハイブリッド発電システムで可能となる効果的なパワーマネージメント(発電装置・バッテリーへの負荷を統合制御することで、動力主電源の安定的な供給を実現)と掛け合わせることにより、従来船型よりも8~15%の燃費改善が期待できます。

 

【広報全般に関するお問い合わせ】

上野グループホールディングス㈱ 総務部 

https://www.uyeno-group.co.jp/contact/index.html